▼過去にないほどの大雨が各地域に被害を与えている。西日本では広範囲にわたる線状降水帯が多発。熊本県では8月9日からの3連休に記録的な大雨となり、家屋の冠水をはじめ幹線道路や田畑が濁流にのまれるなど甚大な被害が生じた。西日本だけでなく北陸や東海、東北などでも水害は発生しており、農作物への影響が懸念される
▼夏の”酷暑”も問題に。8月5日には群馬県伊勢崎市で41.8℃となる国内最高気温を更新した。他の地上気象観測地点でも次々と観測史上最高を記録するなど、危険な暑さが続いた。識者は地球温暖化を理由に挙げるが、気候変化はこれほど急激か。地域によってかたや水不足、かたや集中豪雨。これが日本の日常になる可能性も否めない
▼生物学者は酷暑や集中豪雨、台風の多発などに伴う生態系の乱れを指摘する。中でもクマによる死傷者は7月末時点で過去最多と同水準の55人に。天候不順で山に食料が不足し、農産物を狙うクマが人と遭遇する事例が多発。駆除を担う猟友会の人材は高齢化が進み、今後はさらにクマ被害が増えるとの声も。住民の安全を第一とする自治体は気象被害と獣害に頭を悩ませる
▼このような状況にシール・ラベルの機能が役立つはず。事実、労働に従事する作業者の熱中症を警告するシールは、好調に販売数量を伸ばす。また動物が嫌がるにおいを発する忌避剤が塗布されたシートが登場。ラベルやステッカーへの採用はみられないが、ビニールハウスやごみ集積場に貼付することで、害獣との遭遇を減らす効果があるとされる。さらに避難経路を表示したステッカーは、デジタル機器の扱いに不慣れな高齢者が多く住まう地域で再評価の動きも
▼これまで人々の生活を豊かにしてきたラベル。今こそ人々の暮らしを守る製品の開発、提案をラベル業界全体で推し進めるべきではないだろうか。
(2025年8月15日号掲載)