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ハイ・アングル(2025年12月1日号掲載)

▼先日こんな報道があった。万引きが疑われる場面の防犯カメラの画像を、事業者間で共有していくための措置を今後講じていくという。現状では、個人が特定できる画像は肖像権やプライバシーの侵害にあたり、個人情報保護の観点から共有には障壁が存在する。それでも、国内小売業における昨年度の万引き被害額が年間約4,600億円と聞けば、何か新たな手立てが急務と痛感する

▼以前出会った一幕。検査装置メーカーがセミナーを開催した。メーカーの技術解説後、1人の聴講者がこう質問した。「これだけ全国にユーザーが居てあらゆる分野のラベルの品質検査を行うのなら、検査結果に基づいて良品を定める『業界基準』を策定できるのでは」。刹那、会場の空気が止まった。ニュアンスとしては「どういうことだ」という『?』よりも、「一理あり」という聴衆の『!』が生んだ沈黙だった

▼とはいえ情報保護の側面からメーカーが勝手にデータを収集するわけにはいかない。しかしながら、検査データを共有する目的や公益性、情報を厳に管理する方策などをていねいに説明し同意が得られる日がくれば。「業界基準に基づくと、これは良品にあたる」。これが業界の創意だと顧客に説く日がくるか

▼検査装置メーカーらは、まず「自社基準」の策定支援を始める。日々撮像・蓄積する検査画像を教材にAIが学習。ルールに則り装置が検出した欠陥は今、人が「これはOK、これはNG」と仕分ける。そこをAIが自社基準で分類、良不良を判断し始めた

▼これだけ環境に配慮したものづくりが重視される中、過度な品質基準での刷り直し要求は時代に逆行する。データをどう生かし、誰と共有できるか。業界基準の策定は高い障壁でも、人が判断し円卓を囲む時が待たれている。企業の正当な利益と印刷人の誇りを守り、ラベルの未来が侵害される前に。

(2025年12月1日号掲載)

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