▼「ミスタープロ野球」長嶋茂雄氏が6月3日、逝去した。生前の活躍は触れるまでもないが、昭和の高度経済成長期に野球というスポーツを庶民の娯楽へと高めた功績は極めて大きい。日刊紙のスポーツ欄に掲載される記事スペースは1950年代、早慶戦など東京六大学野球が「職業野球」のプロ野球を凌駕していた。それが同年代後期にプロ野球が逆転。あるコラムニストは「58年に立教大学の長嶋が巨人に入団したため」と分析する
▼日本スポーツ協会の統計によると、少年野球の人口は80年代にピークを迎えるも、以降はサッカーを下回り、近年はバスケットボールとの差が縮まる。野球指導者は「少子化の時代に競技人口を増やすため、指導方法などの改革が必要。才能ある子どもに魅力ある競技と認識されなければ野球は衰退する」と危機感を露わにする
▼JFLPは通常総会で組合員・会友数を発表。2024年度は30社減の424社となり、減少幅は前年度の2倍に。人手不足や後継者不在、景気停滞などが要因とされるが、現状のままでは組織の衰退を避けられない。粘着ラベル製造を志す企業が60年代に「セルフラベル特許」を共同管理するJFLPに加入。技術力や知識を得た組合員各社は新製品開発、新市場開拓を推進したことで、業界全体の発展につながった。特許失効という”スター選手不在”の今、組合の再活性化に何が必要か
▼スポーツ団体は競技人口を増やすため、競技の魅力を訴求する施策を講じる。プロ化による試合演出や国際試合の実施、メディア露出、もちろんスター選手の育成も。一方、ラベル業界は組合を含め「魅力的な産業」となる施策を講じているか。労働人口減少の中で市場を発展させていくため、才能豊かな人材が多く集う産業への施策と実行が肝要。その努力こそが「ラベル業界は永久に不滅」の礎となる。
(2025年6月15日号掲載)