▼質の高い総菜にお菓子が24時間入手でき、訪日外国人を虜にする魔法の箱。緊急事態宣言下では、明かりの消えた街を灯す夜食難民の駆け込み寺に。それが日本のコンビニエンスストアだ。国内最大手、セブン―イレブン・ジャパンの国内第1号店の誕生から今月で50周年を迎えた。爾来、消費者にさまざまな「便利」を届け、同社を筆頭とするコンビニ業界は今や7.6兆円産業に
▼(一社)日本フランチャイズチェーン協会発表の統計調査によると、最新の3月度は店舗売上高が既存店ベースで前年比5.8%増、来店客数は同3.6%増と前年を上回る結果に。4年ぶりに行動制限のない春を迎えた同月、好天に恵まれたのも手伝い花見などの行楽需要が後押しした
▼消費者の欲しいものを売るのではなく、消費者に欲しいと思わせるものを売る。毎週新製品が生まれては消え、棚から新たなトレンドや価値を問いかける。美味なるもの、安価なもの、いつでも入手可能なことだけが価値かといえばさにあらず。ナショナルブランドよりむしろコンビニ各社のプライベートブランド(PB)が包装の環境対応を積極化。エコという新たな価値像を示す
▼中央のブランドオーナーの環境意識に比べると地方はまだまだ。先んじて提案すれば、環境対応という新たな価値を拓いていける。欲しいものを売るのではなく、欲しいと思わせるものを売る。これに有効なラベル製品の開発にチームを組み検証を進めていると、地方のあるラベル印刷会社の経営者は語る
▼減プラした総菜包装にPB商品の紙包装化、ラベルレスPET飲料の販売。われわれにとってコンビニとは、環境配慮という宿題が毎週更新される学びの場だ。24時間いつでも次なる価値のヒントを得られる駆け込み寺であり、全国に約5.7万店フランチャイズ展開する便利な寺子屋かのようだ。
(2023年5月1日号掲載)