▼経済産業省が旗振り役を担う国策「健康経営」は、企業の持続可能な発展を目指す取り組みだ。従業員の健康管理を経営的な視点でとらえて取り組む法人を認定する制度「健康経営優良法人」も用意されている。ラベル業界でも同認定を受けた会社があるほか、健康経営についてのセミナーを開催するなど、関心が高い。今いる従業員の健康を守り、長く働く社内環境を整え、働き盛り世代がいなくなる日本の将来への不安を吹き飛ばす
▼健康経営を企業へ普及させる目的で、セミナー講師を務める保険会社の識者は〝従業員の高い職業意識〟が重要と説く。健康診断の受診や受動喫煙、長時間労働対策などの身体のケアは基本としながら、仕事に対するやる気、誇り、会社への愛着心を備えてもらいたいという。加えて「前向きな人生観」の従業員ほど、生活習慣への関心が高いことを挙げている。識者によれば、従業員の心身の健康状態の把握は、会社の業績、生産性、企業価値に直結する
▼健康経営優良法人の認定を受けたラベル印刷会社は、人材採用の場で認定のメリットを実践している。認定を受けた会社は、専用のロゴマークをホームページや名刺などへ掲載でき、求人情報を開示する際にも役立ち、印刷オペレーターの増員につながっているという。ホームページには従業員の顔とコメントが並び、求職者へほほえみかける。また経営理念には“従業員の幸福”を追求することがうかがえた。働きやすい職場なのだろうと想像しやすい
▼マスク着用が個人の判断にゆだねられたり、スポーツの声出し応援が解禁されたりなど、アフターコロナの兆し。従業員の健康を管理するにも、画面越しやチャットのやり取りではなく鼻から下が見える顔で対面した方が、会話が弾むだろう。経営者自身も健康管理に努め、持続可能なラベル業界を目指したい。
(2023年4月15日号掲載)