▼サッカーW杯が中東のカタールで開催されている。日本代表はグループ予選リーグ初戦で強敵ドイツを見事な逆転劇で破るも、次戦のコスタリカで敗戦。最終戦は難敵スペインに挑む。現段階で試合の行方を知ることができないが、選手には悔いのないプレーを望みたい。決勝トーナメント進出の吉報を信じる
▼サッカーの監督は大変な職業だ。勝利のための戦略を立て、招集した個性の強いプレーヤーをまとめつつ鍛え上げる。何かが足らずば成果はなく、足りようとも試合で想定外の事態が発生する。無責任な周囲から戦略の不備を指摘する声が挙がり、同志のチームからも離反者が現れる…。これはサッカーのような競技に限った話でなく、チーム=組織としての企業経営にも当てはまる
▼ラベル業界では現在、人手不足が大きな課題だが、誤解を恐れず言えば「今後、人手が足りることはない」。少子高齢化が急速に進む現在、健全な企業は成長のため雇用条件の向上に努める。就職希望者は好条件の企業に集中し、海外研修生は円安基調で減少傾向に。ラベル印刷会社は“人材がいる”ことを前提に経営戦略を計画するのが難しい時代になった
▼米国の経営史学者であるチャンドラーは「組織は戦略に従う」と提唱する。最初に企業が成長するためのビジネス戦略を定め、それを軌道に乗せるための組織を構築。スペシャルなスキルを持つ人材は好条件で雇用する。簡易作業は機器・システムの導入で省人化を推進。さらに同業者とも連携して自社が足らない点を助け合う。ラベル印刷会社が勝ち残るための戦略に企業の規模は関係ない
▼名古屋グランパスの監督を務めた名将ベンゲルは「パスは未来に出せ」と述べた。勝利をつかむためには変革を恐れず、戦略を信じて組織をまとめ先に進むこと。ラベルビジネスに携わる企業の未来を信じている。
(2022年12月1日号掲載)