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ハイ・アングル(2022年3月1日号掲載)

▼新型コロナウイルスのパンデミックが始まって2年あまり。相次ぐ天災、そしてロシアによるウクライナ侵攻と想定を超える事態が続く。人命はもちろん、ロシアに対する制裁に端を発する経済的な損失も計り知れない

 
▼感染拡大に伴う経済活動の制限や、直近では欧州で発生した製紙工場のストライキも合わさり、ラベル業界のサプライチェーンも大きな影響を受けている。印刷機の部品不足、各種原材料の高騰、資機材の供給遅滞など。印刷会社には、冬の時代に応じたかじ取りが求められている
 
▼年初に行われた日本フォーム印刷工業連合会による新春講演会では、東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授が“渋滞学”をテーマに、生産向上などに資するヒントを発信。日本国際ムダどり学会の会長も務める西成教授は「無駄をなくすことが業務改善」とし、無駄の定義は「目的」「期間」「立場」によって決まると説いた
 
▼生産性向上という共通の目的を持っていても、立場などが違えば見える景色も異なる。企業間、ひいては国家間でも共有できるような改善・発展に向けた枠組みを定義することが、個人や法人、国家の健全な成長につながるのではないだろうか
 
▼19世紀にロシア帝国の農奴解放に尽くし、ウクライナ紙幣の顔になっているタラス・シェフチェンコは、近代ウクライナ語文学の祖としても評価されている。彼の没後約160年、流刑や病といった苦難にあっても独立の意志を形にした詩は、時代を超えて今日でもウクライナの精神的支柱となっている
 
▼SDGsにしろ国連憲章にしろ、現状で完璧とは言えない枠組みかもしれないが、理想を目指す意志を明文化しようという試みこそが意味を持つ。険しい冬の時代を乗り切るため、社会の中で各人・各社が果たすべき責任と使命を見つめ直し、行動指針を定めたい。
 
(2022年3月1日号掲載)

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