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ハイ・アングル(2021年10月1日号掲載)

▼全国に発出されていた緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が今日から全面解除に。宣言・重点措置とも発出ゼロの状態は4月4日以来だ。未知なるウイルスとの戦いに力を尽くした首相に代わって、先月末第27代の自民党新総裁が誕生。再起動の10月、秋空のような清新な人事と『成長の果実を分配する』経済対策に期待したい

 
▼今号紙上には、コロナ禍の世相を映した報が散在する。代表が直上、粘着紙の価格改定。今号では5社の実施を掲載し前号から数えて7例に。国内主要メーカーすべてが値上げに踏み切る事態となった。原燃料価格の高騰に需給バランスの不均衡、国際物流の不安定と窮状を弁ずる
 
▼日本の貿易量における海上輸送の割合は実に99%以上。エネルギー輸送に資源輸送、製品輸送と島国日本では実質100%海運頼りだ。足元ではコンテナを抑えるのに2カ月近く要し、輸送費はコロナ以前の3倍にも。納期の不安定さに輸送コスト高で、商談が白紙。海外市場では買い控えが続くと中面の中古機販売事業者も証言する
 
▼ラベルやチラシの印刷、発注量が多ければその分単価は下がる。転じると、今後市場全体で発注量が減少すれば、仕入れ単価も上昇することに。現下の関連資材の値上げは、こうした将来の需要予測も無関係ではないはずと指摘する印刷人も。需要を維持すること、機械を回すことが将来の仕入れを安定させると説く
 
▼本紙の縮刷版をめくると、粘着紙の全面的な価格改定は2007年以来。「人件費や輸送コスト上昇」、メーカーは具体的数値で説明しているのか。当時は現職になかった若き経営者から問われ、また別の印刷人は紙面片手に顧客と価格交渉に臨むと部売りを求める。くだんの成長の果実、いかに自らの手で収穫するか。約半年振りの全面解除を迎えた錦秋の空に、意思ある者の靴音が街に響き出す。
 
(2021年10月1日号掲載)

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