▼今日から4月。桜に新年度、そして国内ラベル市場発表の季節だ。パンデミックという近年類を見ない事態に見舞われた20年の国内ラベル市場規模を本紙が推計。6,042億円と前年から220億円減らす後退局面となった
▼9分野に区分するラベル需要分野別で見ると、唯一の前年増はトイレタリー分野。在宅勤務に外出自粛と家庭内時間の増加に伴い、日常生活に必要なホームケア製品の販売が好調だった。特に衛生用品需要が急伸、手指消毒液や除菌スプレーが一家に一つ常備される環境が続く
▼印刷産業全体の推計は4兆6620億円と、同9%の下落。ピーク時の8.9兆円から市場半減の足音が近づく。昨年は各種イベントが軒並み中止・縮小し、付帯する関連印刷物の需要が消失した商業印刷分野が大打撃を受けた。ウィズコロナで展示会の開催手法も大なる変化が待ち受けよう
▼「drupa2021」は今月20日から「バーチャルdrupa」として、初のオンライン開催に挑む。英ターサスも、延期の末6月開催を目指していた「ラベルエキスポアメリカ」を中止とし、9月に「ラベルコングレス21」を実施する。対面式の展示規模を縮小、オンラインでバーチャル展示会を実施する運びだ
▼この流れを吉凶どう占うか。対面方式に付帯する関連印刷物が今後、コロナ禍以前の水準に戻るとは考えづらい。ならば受注側から発注側へ。人を送らず搬出搬入もなく、外出自粛下パスポート不要で国外の展示会に誰でも出展できるプラットフォームが整ったと解したい
▼「桜は花に顕われる」。ほかの雑木に交り目立たなかった桜の木は、花が咲いて初めてそれと気づかれる。まだ競合の少ないオンラインという世界線で、日本の国花を咲かせては。国境も時差も超えた画面の向こうに、新たな出会いとビジネスチャンスが待つ。さあ、新年度の幕開けだ。
(2020年4月1日号掲載)