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リコー 21年春からラベルなどで順次販売へ 〝フェノールフリー〟感熱紙を開発

リコーはこのほど、可変情報ラベルの基材にも使用されている感熱紙(サーマル紙)に関して、フェノール系化合物を含まない顕色剤を使用した製品を開発。今後、同社が製造するすべての感熱紙を順次〝フェノールフリー〟製品へ転換する。また国内市場では、2021年春からの販売開始を目指す。

感熱紙は、固体の顕色剤が加熱によって融解し、無色状態のロイコ染料に作用することで、化学変化により有色化するといった特徴がある。この顕色剤には、フェノール系化合物の「ビスフェノール類」が多く使用されている。
感熱紙に使われるビスフェノール類のうち、「ビスフェノールA(BPA)」は安全性が低い物質として、日本や北米では感熱紙への使用が避けられてきた経緯がある。またEUでも、環境ホルモンへの影響が懸念されたため、安全性に対する再調査の結果、REACH規制の高懸念物質に登録。今年1月から、感熱紙への使用が厳しく規制されている。
そのため、現在ではBPAよりも安全な「ビスフェノールS(BPS)」が代替原料として広く使用されている。しかし、BPAと同じフェノール系化合物であることから、EUでは安全性の調査を実施。それに先んじてスイスでは、今年6月以降、BPSも感熱紙の原料使用が規制された。
リコーはこのような情勢を勘案し、さらなる安全性の追及によって、フェノール系化合物の顕色剤を含有しない感熱紙の提供に注力する企業方針を発表。新規使用のフェノール系化合物を含まない主原料は、米国環境保護庁のBPA代替材料に関するリポートと同様の安全性試験項目で、BPAやBPSよりも環境・人体に与える影響が少ないとの結果を得ている。
これを踏まえ、同社では今年2月、EUで先行的にフェノールフリー化した感熱紙の供給を開始した。また、日本でも11月から「リコーサーマルペーパー タイプ150LA-1」「同135LA-1」など主力製品の評価用サンプルを支給。21年春のフェノールフリー製品発売に向けて、生産体制の強化に努める。
IMS事業本部の担当者は「長年にわたる感熱メディアの材料処方技術や塗工技術により、グローバルでの安定供給と高品質化を実現した。特に当社の感熱紙は需要の4割がラベルであり、これまで流通や物流の現場で効率化に寄与してきたと自負する。今回のフェノールフリー化によって製品の性能を変えることなく、地球環境とお客さまの健康に対する影響を改善した製品展開により、SDGs目標3『すべての人に健康と福祉を』の達成に貢献したい」と話している。
詳細はIMS事業本部(☎045-477-1616)まで。
 
〈写真〉フェノール系化合物を含まない顕色剤を採用した感熱紙を開発。日本では来春から、ラベルなどでへ順次転換
 
 
 
(2020年11月1日号掲載)

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