東洋インキグループはこのほど、ヴェオリア・ジェネッツ㈱(東京都港区海岸、野田由美子社長)と共同で、一般廃棄物として排出されるシュリンクラベルやロールラベル、軟包装などのプラスチック製容器包装ごみを対象としたリサイクル促進を目的に、容器包装に使用される印刷インキ成分の除去(脱墨)とラミネート接着剤の剥離に関する技術を確立した。
プラスチック製容器包装の多くで採用される複層構成は、包装材としての機能を満たす一方、質の高いマテリアルリサイクルの実現では課題とされている。
東洋インキグループでは、独自開発の脱墨用コーティング剤ならびに剥離用ラミネート接着剤と、ヴェオリア・ジェネッツの保有する選別・分離および一定条件下でのアルカリ水溶液による脱墨処理・剥離技術を融合。プラスチック製容器包装の機能を維持しつつ、高品質なオレフィン樹脂などを取り出す技術の開発へと至った。透明に近い再生プラスチックを実現。これまでリサイクルが難しいとされた用途への展開を可能にする。
現在、約900万トンの使用済みプラスチックは約28%がマテリアルリサイクルされており、多くが海外へ輸出されている。しかし、海洋プラスチック問題や、中国・東南アジア諸国の廃プラスチック輸入規制に伴い、国内でのリサイクル需要が高まっている。
東洋インキグループとヴェオリア・ジェネッツは、新技術によって取り出されたリサイクル樹脂を筐体からフィルムに至るまで多様な用途への再利用を検討。また2022年の実用化開始を目指し、量産検証を進めつつ、消費財メーカーやフィルムメーカーなど包装業界各社との連携を図り、循環型経済社会の構築に貢献する方針としている。
(2019年7月1日号掲載)