経済産業省はこのほど、コンビニエンスストア大手5社が取り扱うすべての商品にRFIDラベルなどの電子タグを利用し、2025年までに商品の個品管理を実現することについて、一定の条件下による合意に基づき、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定した。
経産省では、サプライチェーンの人手不足や労務コストの上昇といった課題を解決するツールの一つとして、電子タグに注目。16年に、コンビニ5社や有識者、ベンダーなどによる実務者会議を実施している。なお、ベンダーからは、RFIDラベルの技術開発に携わるエイブリィ・デニソン・ジャパンや大日本印刷、凸版印刷などが参加した。
経産省によると「実務者会議では、電子タグの技術動向に関する情報の共有をはじめ、ローソンなどによる実証実験の報告などをベースに、ロードマップを作成した。コンビニ大手5社が年間に取り扱う商品は年間1000億個。これらすべてに電子タグを貼付することで、作業現場での負担減少と労務コストの削減に貢献できる」と説明する。
ただし、実現に向けていくつかの課題が挙げられている。特に重視されているのが、特殊条件に該当しない「普及型」の電子タグにおける1枚当たりの単価。経産省では、レンジによる温めや金属容器、冷凍・チルド、小型容器などの用途を特殊条件としているが、それ以外の普及型について「1枚1円」を求める。しかし、ラベル関係者は「枚数にもよるが、現段階で10〜20円が一般的。安定的な大ロットで受注しても、なんとか1桁の状況。また、ラベルの貼付コストも重視すべき」と話す。
これに対し、経産省では「ICチップメーカーや生産システムベンダーと協力し、18年に低価格化の達成を目指す。また、研究機関との連携で、新技術開発も模索する。コンビニ5社に加え、スーパーやドラッグストアなど小売業全体での普及も想定しており、宣言の実現に向けた活動を推進する」とコメントしている。
(2017年5月15日号掲載)