ゴム系ホットメルト型粘着剤に使用される原材料を製造・販売する日本ゼオンはこのほど、熱可塑性エラストマーにおけるスチレン・イソプレンブロックポリマー(SIS)の新製品「Quintac(クインタック)SL-186」を開発した。
新製品は、強い粘着力と優れた抜き加工適性を兼ねるとともに、低温状態での粘着力保持を実現。加えて、被着体への〝のり残り〟や、オイルブリード(基材へのオイル染み出し)を抑制するなどの特徴も有する。
粘着剤のベースとなるSISは一般的に、イソプレン部を挟むようにスチレン部が対称となって分子形成されている。新製品のポイントは、SISのモルフォロジー構造(分子混合の状態)において、従来になかったスチレン部の〝非対称化〟により、硬い成分であるスチレンの含有量が多いにもかかわらず高い柔軟性を実現した点にある。
一般的なSISは、抜き加工適性を高める目的でスチレンの含有量を増やすと結果として柔軟性が低下し、粘着力が弱まる。逆に粘着力を強くすると粘着剤が基材から離れやすくなるため、抜き刃型に付着して加工適性が落ちるトレードオフの状態にあった。
新開発の非対称SISは、スチレンの含有量が多く、加工適性を高めても、強い粘着力を維持できる。さらに、ゴム系ホットメルト型粘着剤の課題とされるオイルブリードに関しても、高いオイル保持性を有するため、トラブルを抑制する。
また、オイルの増量も可能で、低温状態でも粘着剤樹脂が柔軟性を保つことから、冷蔵・冷凍の環境下で使用される食品・飲料ラベルなどに適性がある。
非対称SISは、すでに衛生材料の伸縮性フィルムなどで採用実績があり、先行して開発したラベル用品番は、すでに欧州で採用されている。同社では今後、ラベル用ホットメルト粘着剤の主材料として、国内外にSL-186の機能を訴求する方針。
問い合わせは、化成品販売部(TEL03-3216-2335)まで。
(2016年11月15日号掲載)