リンテックが北米市場への進出を本格化する。10月19日に機能性フィルムメーカーのVDI,LLCを、また24日に印刷用粘着紙・フィルムメーカーのMACtac Americas,LLCの子会社化を相次いで発表。リンテックUSAを通じて両社の持株会社から全持分の取得を締結することとした。
2014年4月に着手した3カ年中期経営計画『LIP-2016』の一環「グローバル展開のさらなる推進」「戦略的M&Aの推進」に基づくもの。リンテックは昨年9月、ベルギーで催された「ラベルエキスポヨーロッパ」に過去最大の出展規模で出展。リンテック・ヨーロッパ、リンテック・グラフィック・フィルムズと連携し欧州進出の足がかりを築いていた。
今回の北米進出に関して同社は次のように述べる。
「当社グループはこれまで急成長を続けるアジア地域を中心とした海外事業の拡大に向け現地生産・販売拠点ネットワーク強化を図ってきた。しかし同地域の市場規模は依然小さく、反面規模の大きな欧州、北米における基盤の構築と事業拡大は、グループに欠かせない課題と考えていた」
このうち印刷用粘着紙メーカーのMACtac Americas,LLCについては「年率2〜3%の安定成長を続ける北米市場において、広大な市場をカバーする販売チャネルを自力でゼロから構築することは非常に困難。今回、北米市場ですでに確固たる地位を築いている同社の買収に至った」と説明する。
今後はMACtac Americas,LLCの販売網を通じたリンテック製品群の積極展開と、両者の開発技術を融合した新製品の開発に着手する方針。「当社が持っていない粘着剤に関する技術や高速塗工設備の運用といったシナジーにも期待したい」(同)としている。
(2016年11月1日号掲載)