(株)近藤商店(東京支店・中央区日本橋小伝馬町、近藤洋平社長、TEL03-3661-7311)はこのほど、米PPGインダストリーズの合成紙「Teslin(テスリン)」について、日本国内におけるラベル用途の本格的な市場開拓に乗り出した。多孔性フィルムにより、インキの浸透性に優れ、コンベンショナルやデジタルなど、幅広い印刷方式に対応。静電気を抑制する機能を有することから、医薬や化学、工業分野などでラベル需要が見込まれる。
テスリンはポリオレフィン(PO)とシリカが原料の合成紙で、基材表面に無数の微細な穴を形成する多孔性が最大の特徴。インキに対する高い密着性を実現する。
そのため、海外市場では電子写真(EP)方式のデジタル印刷で印刷する際、プレコートを必要とせずに対応可能。小ロットで高品質ラベルの製造に対応できる基材としての需要が拡大している。また、テスリンの多孔性は、フィルム系粘着紙で課題とされる静電気の放電効果をもたらし、スムーズな印刷・加工を実現することで、作業効率の向上に貢献する。
静電気の抑制効果に関しては、危険物質の引火・爆発防止といった安全性も確保。特に海外では、化学物質用ドラム缶へ貼付される粘着ラベルに関して、GHS基準に加え、国際海上危険物規定(IMDGコード)に準じるBS5609認定製品の使用が義務付けられている。テスリンは同規定をクリアしており、海水や薬品が長期間付着しても劣化しない高耐久性を維持する。
基材としての使用可能温度域はマイナス70〜200℃で、超低温環境での貼付機能が求められるバイオ分野の検体ラベルとしての採用実績もある。近藤商店では「高温度で粉体トナーを定着させるEP方式のデジタル印刷機にも最適な印刷を実現するなど、粘着ラベルとしての用途は幅広い」とコメントしている。
テスリンの販売展開について、近藤商店では粘着紙メーカーやラベル印刷会社を対象に、サンプル提供などを実施。現段階で、複数から引き合いもあることから、このような状況を鑑み、今後もさらに高い機能性をPRする方針としている。
〈写真〉化学物質容器の粘着ラベルとして高い採用実績を誇る
(2016年8月15日号掲載)