「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」において課徴金制度を盛り込んだ改正が4月1日、実施された。同法は、不当表示や不当景品から一般消費者の利益を保護する目的で定められたもの。同法においてはこれまで、不当表示等に対して明確な罰則がなかったが、改正後は、課徴金が科せられる。この改正にともない、ブランドオーナーの中には、パッケージやラベル表示の表現方法の見直しを進めている企業も現れている。
景品表示法では、過大な景品類の提供や不当な表示を禁止している。不当表示の疑いがある場合、消費者庁による事情聴取で違反行為が認められると、不当表示の中止や再発防止措置、事業者名が公表されるものの、具体的な罰則規定はなかった。
しかし2013年に発生した食品表示等問題を受けて、政府は14年、同法の改正を実施。これまで、不当表示に対する措置命令の権限は消費者庁のみが有していたが、改正後は、一部の権限が都道府県知事に付与され、地方自治体による監視体制の強化が図られた。
さらに、不当表示等の行為が認められた場合の課徴金制度を新たに導入。課徴金の額は、違反商品やサービスにおける売り上げの3%が科せられる。
消費者庁によると、不当表示に当たるものとして①優良誤認表示②有利誤認表示③その他誤認される恐れのある表示、と定義。
①は商品やサービスの品質および規格、その他の内容に関する表示。牛肉のブランドやLED電球の明るさなどが該当する。②は、商品やサービスの価格および取引条件に関する表示。③は、一般消費者に誤解される恐れがあるとして、内閣総理大臣が指定する不当表示を指す。無果汁・無果肉または果肉の量が5%未満の清涼飲料水や乳飲料などで、果汁や果肉の割合(%)を明記しない場合、果実名を用いた商品や説明文の表示、あるいは果実の絵や写真、果実や果肉を連想させる色・デザインのラベルやパッケージも、不当表示に当たる。
このような背景から、ブランドオーナーの中には景品表示法の改正前に生産された商品のラベルやパッケージに対して、ラベルの貼り替えや訂正ラベルなどによる表示の切り替えを実施しているケースもある。
(2016年4月1日号掲載)