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ハイ・アングル 2015年11月15日号

国産初のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」が無事に初飛行を遂げた。流麗な機体が高度を上げていく姿は軽やかで、質実剛健という言葉が似合った半世紀前の国産プロペラ機「YS—11」とは隔世の感がある。新型機の常とはいえ、開発遅延を繰り返して世間をやきもきさせた末のテイクオフ。航路にデビューする再来年が待ち遠しい▼今回の開発が難航した最大の理由は、半世紀にわたる旅客機開発の断絶によって、必要なノウハウを失っていた点にあるとされている。設計・製造するメーカーはもとより、型式認定を担う行政側の不慣れも影響した。伝統はいったん途絶えてしまえば、いずれ必要とする後進が現れても容易にはよみがえらない。翻ってラベル業界では、重鎮自らが手と機械を動かし、印刷加工の基本を繰り返し示して次代にバトンをつなげている。未来を見据えた尽力に、頭の下がる思いだ▼受け継ぐべき技術は、日々上書きされていく。MRJは当初、日本が誇る最新の素材技術をアピールするべく、強くて軽い炭素繊維複合材料を主翼などの枢要部に用いる意欲的な設計としていた。結局は主翼への採用を見送っているが、これは製造し、運用していく上での課題がクリアできなかったためと報じられている。製品である以上、使えないと判断された材料がシビアに外されるのは当たり前。ただそれでも、新たなテクノロジーの応用には、今までの限界を超えた世界が見られそうなロマンがある▼ラベル業界の周囲を見回しても、印刷の未来を少なからず変えそうな技術が相次いで誕生していることに気づく。「主翼を担う」までの実用化が見込めるのかどうか。可能だとして、もたらす変化を素直に歓迎できるのか。視界不良のルートは多々残るが、紙面を通じて共有できるロマンがあればと願う。

 
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