東洋紡はこのほど、食品や日用品向けラベルに適したPET基材の合成紙「カミシャイン」を開発した。オレフィン系合成紙と同等の耐熱・耐薬品適性を維持しつつ、独自技術により優れた印刷適性と柔軟性を付加した。日本をはじめ欧米や中国などグローバル市場での粘着加工メーカーに対し、販売展開する。
ラベル基材としての合成紙は近年、着実に需要が拡大。本紙調査によると、2014年度は前年度比1.2%増で、いずれも伸長。今後も、さらに需要が増えると見込まれる。
東洋紡ではこれまで、PETベースの合成紙「クリスパー」の販売を推進。工業用ラベルなどに採用されている。一方、食品や日用品のラベル基材には、PPなどオレフィン系が世界的に主流になりつつあると分析。それを踏まえた上で「オレフィン系は一般的に、耐熱性や耐薬品性に課題があるため、高温下ではラベルが収縮してシワが発生したり、特定薬品に接触するとラベルの特性が失われたりする。また、インキや印刷方法が限定されるケースもある」と説明する。
これを受けて、同社はオレフィン系の課題を克服する目的から、カミシャインを開発。PETの長所を生かし、耐熱・耐薬品性を継承しつつ、柔軟性を付加させた。薄膜化しても、オレフィン系と同等のコシの強さを実現している。また、ラベル印刷に採用される樹脂凸版はもとより、オフセットやフレキソ、グラビアなどの有版印刷、あるいはUVインクジェットや熱転写など無版印刷にも優れた適性があるとしている。
同社では今後、需要とニーズを見極めた上で、商品ラインアップを拡充する方針。新製品の問い合わせは、コーポレートコミュニケーション室(TEL06-6348-4210)まで。
(2015年9月15日号掲載)