世界経済を揺るがす二つの大きなニュースが新聞紙上を賑わした。一つはギリシャのデフォルト問題。もう一つは中国株式市場の暴落である。ギリシャに関しては過去にも経済危機に陥っており、EUが支援してきた経緯がある。しかし、国内経済は停滞を極め、今回はEUの求める緊縮策に対し、国民投票をて「ノー」と返答。ユーロ圏離脱もかれたが、金融支援の再開で原則合意した。ただし危機回避は一時的との見方も▼中国経済はこれまで、旺盛な消費人口を背景に急速な発展を遂げてきた。上海市場の株価上昇は〝約束された成長率〟を背景に、個人投資家の無謀な投資が支えていた説もある。しかし、成長のみの株式相場など存在するわけがなく、かつての日本バブル経済にも似た中国株式市場は、いったん下落に転じると歯止めがかからず暴落。中国政府が前例にない政策でなんとか押しとどめているものの、こちらも一時的との声▼日本が円高に苦しんだ時期、海外展開するラベル印刷会社経営者の言葉を思い出す。その年、海外のグループ会社が前年比プラスで収支を終えたが「為替変動の影響で連結はマイナス。現地のモチベーションは低下した。頭では理解しても、グローバル市場でのビジネスの難しさを痛感する」。日本経済は現在、アベノミクスによって回復基調にあるものの、世界経済の動向次第で再び不況のトンネルに舞い戻るリスクをはらんでいるのが怖い▼国内でラベルビジネスに携わる企業のうち、海外に進出しているのは一部かもしれない。しかし、グローバル化が進む経済社会において、日本のラベル需要は世界動向と直結している。特に中国市場は、日本企業との結び付きが強いだけに、対岸の火事というわけにはいくまい。回復気運に水を差すような状況は避けたいところ。もうバブル経済に踊らされるのは御免だ。
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