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ハイ・アングル(2025年4月15日号掲載)

▼大阪・関西万博が4月13日、盛大に開幕した。準備期間は、各施設の建設に携わる人手の不足や世界的なサプライチェーンの混乱に伴う資材調達の遅れなどが懸念されたが、158の国・地域が人びとに希望を与えるような最先端の技術を多数披露。来場者は夢のある明るい未来を体感したと思われる

▼一方でリアルな世界経済は、不透明な状況を突き進む。米国のトランプ大統領は「貿易不均等是正」の旗頭を掲げ、すべての国を対象に基本関税を導入。また貿易赤字額の高い国にはさらに関税を上乗せした。日本は24%の相互関税としたが、その根拠はまったく明確ではない。さらに中国との貿易戦争が激化。関税の増額による報復合戦に

▼米国の関税政策に世界の各産業が混迷している。当然、あらゆる製品に貼付されるラベルも影響は免れないだろう。日本でも自動車関連のラベルを製造する印刷会社の関係者は「輸出が滞ればそれに連動してラベルの需要も減少する可能性が高い」と危惧する。他のラベル需要分野も同様

▼もっとも強力な関税政策が、はたしてトランプ政権の思い描く産業活性化につながるのかといえば、甚だ疑問だ。米国の自動車、スマートフォン、アパレル分野では部品や原料を他国から調達している。これらの産業界は高い関税を支払って生産活動を続けるか、あるいは高額な設備投資と長い年月をかけて一からサプライチェーンを構築するかの選択を強いられる。グローバルサプライチェーンが発達した現代、関税合戦は産業の停滞につながり、そこには勝者など存在しない

▼万博開催の目的には「地球規模の課題に取り組むため、世界各地の英知を集める場」もある。万博で各国が披露した明るい未来を実現するためにも、大国の為政者は自らの権威に固執せず、グローバルな視点に基づき政策を遂行してほしいと切に願う。

(2025年4月15日号掲載)

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