金曜日, 3月 7, 2025
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ハイ・アングル(2025年3月1日号掲載)

▼年頭から今年は「昭和100年」とのフレーズを耳にする。軍国主義、敗戦、戦後復興、高度経済成長、バブル崩壊、失われた30年――。光あり影あり、この昭和100年間は過去の歴史上類のないほど、年表を埋める事象が起きた

▼高度成長期に整備が進み、都市化を果たして暮らしを豊かにした生活インフラ。しかしここにきて道路の陥没や水道管の破裂と、アスファルト下の昭和の軋みが全国から届く。人口減少の一途をたどるこの先、わが町の道路、橋、上下水道は暮らしを守るのか

▼さらには災害大国の日本。近年激甚化・頻発化する災害や今後差し迫る巨大災害に対し、政府は2026年度中に災害対応の司令塔となる「防災庁」を設置する方針だ。1月30日には防災庁設置に向けた有識者会議の初会合を実施。席上、災害医療に詳しい教授は「避難所の課題」を指摘する

▼シール・ラベルに何ができるのか。避難所といえば、大阪シーリング印刷が考案した「避難所設営シールセット」がある

▼人はある日被災者にもなり、避難所運営側にもなり得る。施設を案内するPOPや表示シールに空間を分け秩序をもたらすテープと、高齢者や色覚障害者にも情報が伝わりやすく配慮された設営用ツールをまとめた。混沌の中で情報を届ける、印刷本来の役割を果たす英知の集合体は、庁発足を前に再注目されよう

▼ほかにもセンサー機能を持つRFIDラベル。元々はプラントの高所や狭所の油漏れを遠隔から検知する用途、濡れて通信が途絶えれば異常発生のサインだ。アスファルト下の昭和の悲鳴を、地上からいち早くキャッチできる日はくるか

▼さらに直上、災害時のBCPで北と南の企業が手を取り合う。ラベルも生活インフラを担うことはコロナ禍に実感した。災いにどう備えて正対するか、令和を生きる者の命題だ。“昭和”は遠くなりにけり。

(2025年3月1日号掲載)

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