流通・小売業向けに万引防止や在庫管理のシステムを展開する(株)チェックポイントシステムジャパン(東京都港区芝大門、金村真一社長、TEL03-5425-8040)はこのほど、RFIDを使った同社のシステムがイオンリテール(株)の総合スーパーに試験導入されたと発表した。
千葉県の旗艦店で昨年12月から、販売する衣料品・服飾品・靴など約10万点にRFラベルを貼付。商品管理体制や来店者への対応向上を目的に、万引防止ゲートや在庫管理、レジでの一括読み取りといったシステムと連携させ、各用途での有効性が検証されている。イオンリテールはこれらシステムの本格導入を視野に、全350店舗の万引防止システムを従来のAM方式からRFID対応のタイプへ切り替える予定で、早ければ年内にも更新を完了する。
試験導入ではこのほか、チェックポイントとして世界初の試みとなる自走式ロボットも採用。スーパーの従業員がスキャナーで行ってきた棚卸し業務の省力化と精度向上を狙ったもので、専門店街を除くフロア全体を閉店後に自動巡回して商品のラベルを読み取り、実用性を検証している。
小売り業界では近年、主にアパレルでRFIDによる商品管理システムの採用が進み、ラベルやタグの流通量も増加している。管理の効率と精度を高めるには製造・流通段階でRFIDラベルなどを取り付ける「ソースタギング」が効果的とされるが、新たな作業が生じることから、特に日本国内では、生産も自前で行う製造小売り(SPA)の業態を中心に導入されてきた。多くのメーカーから商品を仕入れる大手総合スーパーのイオンリテールは今回の検証に併せて、取引先との連携強化などソースタギング推進に向けた取り組みも始めている。今後、RFIDラベルを運用する企業の増加で利用が加速し、ラベルの製造コストが引き下げられることも予想される。
金村社長は「国内小売業を代表する企業でのシステム導入が成功するよう尽力し、同業や他業種への採用拡大も図っていきたい」と話している。
(2016年2月1日号掲載)