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ハイ・アングル(2026年5月15日号掲載)

▼「色を失う」とは、驚きや恐怖で顔色が青ざめるという慣用句。色がなくなる?真っ白や透明のこと?と幼少時は文字面を見て誤認したものだ。そんな本来の意ではない色を失う事態が、よもや2026年に現実化するとは。カルビーが12日、「ポテトチップス」の袋を白黒の2色刷り仕様に変更すると発表。誰もが一度はつまんだことがある身近な”ポテチ”ゆえ、中東情勢の影響が日常生活のすぐそばに現れたと現実感をもって大きく報じられた

▼色がない=透明の誤認もポテチに限ってはあながち間違いではない。1970年代、スナック菓子の袋は透明が主流だった。理由は、食品は中身が見えないと不安で売れないから。しかし防湿性や遮光性に乏しく、油は酸化しにおいも移行しがち。そこで84年、アルミ蒸着フィルム層を持つ袋が菓子に採用され、以降全面に印刷を施した袋が主流となる。業界に先駆けて仕掛けたのがカルビー、対象商品はポテトチップスだった

▼一石を投じた2色刷りの判断は40年前の大転換を想起させるも、品目を限った一時的な緊急回避措置。対象商品には「石油原料節約パッケージ」のマークを記載する。一部では、食欲が減衰する・おいしそうに見えない・違いが分かりづらいなどと色めき立つ市井の声も。それでも、消費者に安心かつ安全な品質の商品を届けていく、というメーカーの意思をみる

▼日本語における「色」の字は実に多義的だ。色を失うは感情を指し、特色は個性、色気は欲望、色事は恋愛を表す。色は人に根ざし、文化を灯してきた。そんな色を司るわれわれにとって、かつて経験したことのない世界が待ち受ける。直上の全日本シール印刷協同組合連合会の声明に耳を傾けたい。われわれには市場を護り、文化を照らし続けていくための調整役が期待されている。本来の意味で、今色を失うわけにはいかない。

(2026年5月15日号掲載)

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