▼「ニコニコ超会議」は動画共有サービス「ニコニコ動画」を運営するドワンゴ主催の参加複合型イベントだ。会期中はオンラインで生放送も同時展開しリアルとネットで体験価値を創出。先月末の2日間、13万人超が幕張メッセで”日本最大級の文化祭”を楽しんだ
▼会場ではゲーム実況、アニメ、音楽、コスプレ、ライブステージとコンテンツが多彩。出展ブースの一画には「絵師」こと多くのイラストレーターの姿が。人気絵師の周囲には長蛇の列ができ、描き下ろしの作品集をはじめキャラクターのステッカーやアクリルスタンドが飛ぶように売れていく
▼ゲームやアニメの世界では、伝説の武器や秘宝がつきもの。これに目を付けたのは木工所だ。自作するには技術も設備も要る華麗な伝説の剣や厳めしい大剣を木製で仕立て、本物志向のコスプレーヤーの支持を得る。水晶店も、王家の秘宝に妖精の宝玉と“らしい“姿に変身。妙案に思わず首肯する
▼届けたい市場に向け姿を変えてみる。今号中面では、コンバーターとメーカーの大家がユニークな試みに挑む。片や接点のない潜在層に紙の魅力を知ってもらうため、イラストを多用したHPに再構築。片や情報化社会を支える企業だという硬い内容を小学生に柔らかく伝える狙いで、大胆なマンガ絵本を選んだ
▼絵師も振付師もコスプレーヤーも、ポップカルチャーに属する創造主（クリエーター）だ。2022年の日本のコンテンツ輸出額は4.7兆円と、半導体や鉄鋼産業に引けを取らない。彼らのIP（知的財産）コンテンツの管理や創作物・グッズ販売と、印刷会社が創造主と共創できる世界線がきっとあるはず
▼印刷だって成長産業の一部なのかも。ポップカルチャーを一緒に創れるだろうか。若きクリエーター候補生のはじける笑顔に触れ、希望が「みなぎってきた」。文化祭が面白くなるのは、これからだ。
（2025年5月1日号掲載）
