日曜日, 4月 14, 2024
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精工 つくば工場 グラビアとの相互運用を実現、加工力も武器に

創業103年の歴史を誇る老舗印刷会社、㈱精工(大阪市北区西天満、林健男社長、☎︎06・6360・6531)は、グラビア印刷による軟包装印刷・加工に加え、2000年からはインディゴ社(当時)のロール対応デジタル印刷機「オムニアス」を国内でいち早く設備。最新鋭デジタル印刷機の導入を重ねながら、パッケージ・ラベルのダミーサンプル制作や小ロット印刷などを手がけてきた。しかし、同社が当時から描いていたデジタル印刷の目的は「軟包装の量産」。ようやく広幅対応機が登場した現在、15年間に及ぶデジタル印刷への挑戦で積み上げてきたノウハウを武器に、多種多様な消費者ニーズを具現化していこうとしている。デジタル印刷の先駆者といえる同社の林正規専務に、HP Indigo機を複数台設備しているつくば工場(茨城県土浦市沢辺)で、現状と未来を聞いた。

 

——デジタル印刷への取り組みで、世界市場をけん引してきたといえる15年ですが、まずは現在の状況を

「当社では、主力の青果向けパッケージ等において、消費者や売り場の目線に立ち、実際にユーザーが不便に感じているところはどのような点なのかを模索、追求しています。それら課題を十分把握したうえで、不便な点を解決するフィルムパッケージをデジタル機でダミーサンプルとして制作し、顧客へタイムリーに提案してきました。従来、HP Indigo機では、大ロットのダミーサンプル等に対応し、本番印刷にはつなげない体制を敷いていましたが、昨年、広幅対応のパッケージ・ラベル向けデジタル印刷機『HP Indigo 20000』を、アジア太平洋地域の1号機として設備したことを受け、量産にも対応する体制にしました。これは、グラビア印刷および各種加工の一貫生産体制と、長きにわたり培ってきたデジタル印刷のノウハウがあるからこそできるもので、双方を駆使しながら、ユーザーが真に求める新しいパッケージを生産していく狙いです」

——デジタルとグラビアの双方を使い、一製品の発売から販売終了までに一貫して対応すると…

「そうです。簡単に説明すると、ダミーサンプルや発売時の数がまだ多くない時点ではデジタル機で対応し、本格販売期にはグラビアおよびHP Indigo 20000で量産体制をとります。そして、商品が終売間近になり発注量も減少してきた時点で、またデジタル印刷にする、という流れです。商品の短命化が顕著になって久しい現在、生鮮・青果も加工食品同様、パッケージによって見せ方を変えないと消費者の購買意欲を獲得できません。大量消費の時代から少量多品種販売が一般的になった今だからこそ、このような体制は必要不可欠と考えています」

 

 林 正規専務

 

 

——最大750㍉幅対応で普及パッケージの多くに対応できるようになったとはいえ、デジタル機をグラビア品質に合わせていくのは難しいのでは

「デジタル機の導入を検討する際によく論じられる意見ですが、なぜ当社がHP Indigoでダミーサンプルを作り顧客テストを行うのか、ということに尽きます。そもそも、グラビア品質というコンベンショナル機でも高い色の再現性を、デジタル機で完全フォローするのは無理な話。逆の発想で、デジタルの最高品質にグラビアを合わせれば良いのではないでしょうか。グラビアによる白の再現性さえクリアできれば、なんでも展開できる。そうしてこそ、先ほどの発売時にデジタル、量産でグラビア、終売時に再びデジタル、という相互運用のフローが組めるのです。もっとも、コンベンショナル機よりコスト高のデジタル機をロットの多いパッケージ用に使うのですから、写真画像もプロセスのみで行うとか、CMYKプラス白の5色を3色で表現するというような、HP Indigo独自の機能を駆使する必要があります」

——12年に増築されたつくば第2工場には、店頭を模したショールームを設置し、さまざまな新しいパッケージ提案をされています

「容器が必要な商品にはシーンごとに最適な容器を、また、フィルムのみの方が良い商品には脱容器でフィルムプラス加工の新しいパッケージを、というように、商品ごとに柔軟な個別提案を行っています。当ショールームでは、今夏から本格販売するカットすいか用のチャック付スタンド袋や、年間5億パック販売されるなど売れ行き好調なミニトマト向けパッケージをはじめ、多くの新商材を展示しています」

「特にカットすいかは、従来はラップ包装が主流で、持ち運び時に指で果肉部分を押して傷がついたり果汁がもれたりと不便な点が多かったのですが、これをチャック式スタンド袋にし、さらに、上部に手提げ部分をつけることで、傷を付けずに運べ、小分け保存がしやすくなります。印刷もカラー化することで、ちょっとした手土産にも使えるようになるなど、ラベル一つで商品に付加価値がつき需要が伸びるのと同様のことが、パッケージでも実現できるのです。また、印刷工程についても、表刷り後、コーティングして出荷というフローにすれば、従来の裏刷り後ラミネート加工して在庫し、受注の都度デジタル印刷というフローよりも、短納期対応が可能になり、在庫管理でもメリットが出ます」

 

 「HP Indigo 20000」で手がける紙トレーをなくした角底フィルムパッケージ

 

 

 

——脱容器の商品事例についても具体的に

「果物2個など複数売りの場合、現在は紙トレーに部分粘着加工した取っ手を付けてパッケージ化している商品が多くなっています。当社では、それを進化させたものとして、例えば2個のりんごを角底フィルムのみで包み、上部から側面の中央部分に従来の取っ手を模したデザインで、果物名などをカラー印刷する『ボックスパック』を提案しています。紙トレーがなくなることで省資源になるほか、トレーから果物が落ちてしまったり、帯が切れたりという心配もなくなります。フィルム自体が角底タイプのため自立し、見た目にもきれいに陳列できます。また、果物全体が透明フィルムに覆われているため、鮮度目安として果物の下部もパッケージ越しに見ることができ、消費者が商品選別しやすく、バイヤーの評価も高いですね。商品名部分を果物の種類によって色を変えれば、店頭ではSKUラベルの変わりになり、消費者にとっては、商品の見分けもしやすくなります。HP Indigo 20000からボードンフィルムにも対応できるようになったので、このようなフィルムパッケージについては、今後同機で展開していく予定です」

 

 

 トマト(上)やカットすいか向けチャック付きフィルム包装。パッケージの変化で用途も広がる

 

 

——野菜パッケージも、商品名の印刷だけでなく、写真画像の盛り付け例などが印刷されていると、イメージしやすく購買に結びつく率が高まります。そういう意味でPOPラベルの採用も多くなっています

「パッケージの一部にラベルを使えばイメージがより立体的になり、フィルムのみの包装より消費者の目につきやすくなります。しかし、それなりのコストや手間もかかるため、従来ラベルが担っていた部分もフィルム対応にしてしまうという動きも活発化しています。最近は、生鮮・青果のパッケージに使われる色も、昔と比べて柔軟になってきており、海外市場のように、紫やピンクなども採用されるようになってきました。こういう新たな挑戦はHP Indigoの得意なところです。また、例えば『クックパッド』のような人気料理レシピサイトとタイアップして、直近のランキングをパッケージに反映するというような新しい取り組みも、デジタル印刷なら可能になります」

——これまでのチャレンジがあるからこそ、ノウハウが蓄積され、アイデアが実現できるのですね

「軟包装の少量印刷に対応するためフレキソ機目的で『drupa2000』を訪問した当社の社長が、会場でインディゴのオムニアスを見て『夢の機械に出会った』と、帰国後すぐに導入。その広幅対応機を待つうちに15年が経過してしまいました(笑)。オムニアスを導入して以降、①パッケージダミー制作②少量生産③多品少量生産の順に展開し、その都度最新のHP Indigo機に更新。各種フィルムに対応できるWS6000シリーズや今回のHP Indigo 20000は、当社にとっては第4世代機になります。これまで展開してきた多くの挑戦と失敗、そこから得たノウハウ…。当社でなければできないという自信があるからこそ、デジタル機によるフィルム印刷加工は、適正価格を貫くスタンスでいます」

 

 対応幅が広がった分、メンテナンスは大変に

 

 

——去年、今年のコカ・コーラ「ネームボトル」ラベルへのチャレンジは満を持しての取り組みですね

「日本の印刷品質要求は、世界市場と比べて、確かにとても高いです。しかし、コンベンショナル機とデジタル機の印刷方式が世に存在する今、バランスを取りながらビジネスを展開していくことこそが重要なのではないでしょうか。電子ルーペをのぞいて可否を判断するというように、品質だけを追い求めていたら、現代の消費者が求めている、商品プラスアルファーの〝面白さ”や〝利便性”は実現できません。それを可能にするには、現段階では印刷品質にはちょっとした妥協が必要であり、それを乗り越えたブランドオーナーこそ、新しいチャレンジができ、消費者の支持を得ることができるのでは。どのブランドオーナーも、消費者のニーズをつかみ、やりたい仕掛けがたくさんあるのに、それが実現できないジレンマを感じているようにも見受けられます」

 

 フィルム二次加工工場。容器天面にフィルムシーリングする包装も好調

 

 

——HP Indigo機を複数稼働させ、デジタル印刷の良いところも難しい面も十分把握している貴社ですが、現在市場をリードしているパッケージ印刷について今後の可能性を

「インディゴ機で粘着ラベルを扱ったのはオムニアスのみで、それ以降のHP Indigo ws4000、同WS6000シリーズでは、フィルム素材しか通していません。ラベルとパッケージに対応できるのが特徴の同機ですが、粘着剤がブランケットなどに与える影響は大きく、当社では今稼働しているWS6000シリーズについてもフィルムのみを扱っています」

「同20000は、広幅対応のためテンション制御がしやすくなりました。印刷面積も2・6倍になり、菓子袋など大量流通する軟包装は十分カバーできます。一方で、ハンドリングやメンテナンスは、筐体が大きいゆえにそれなりに大変です。6000シリーズと20000は、印刷幅や対応フィルムは異なるものの、印刷品質はほぼ同等であるため、今後は、すみ分けする商品と双方で展開するものとの両面で稼働させていくことになるでしょう。いずれにしても、ようやく夢を形にできるデジタル機が導入されたわけですから、これからが本格勝負であり、十分商機があると手応えを感じています」

——軟包装の印刷加工会社として、デジタル機を導入したことでラベル製造にも携わってこられました。デジタル機によるラベル印刷の展望についてもお聞かせください

「デジタル印刷機が世に出てから約20年。そのリーディング機として展開してきたHP Indigoも、ロール対応機では、WS6000シリーズで安定稼働できるようになったと感じています。HPは、ブランドオーナーとのコミュニケーションも積極的で、デジタルだからこそ可能にできるユニークなビジネスモデルも多数生み出しています。特にデジタル機最大の魅力である可変印刷という観点では先をいっている感があり、昨年世界市場では『Diet Coke』で200万枚の異なるフルシュリンクラベルを印刷し注目されました。異なるデザインのPDFデータをランダムに印刷する機能を持たせるなど、今後も、ラベル市場において、従来にないビジネスモデルを多数生み出していく可能性は大きいと感じています」

「コンベンショナル機で難しい面をデジタル機で補完することで、従来の課題を解決し、新しいアイデアを形にする。それにより、消費者の共感を得、採用商品の売り上げを伸ばす。今後のパッケージ・ラベルのデジタル印刷における展開は、これに尽きると考えています。ようやく、これまで蓄積してきたアイデアと技術を、本製品として発表していく時期になった、というのが当社の本音であり、これまでになかった新しいパッケージの多くを消費者の皆さまにタイムリーにお届けしていきたいと考えています」

 

(2015年5月15日号掲載)

 

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