トッパンフォームズはこのほど、個品管理に加えて貼付対象の温度測定が同時に行えるUHF帯「温度測定機能付きICラベル」を開発した。リーダー・ライターの発する電波を電源にICラベルを作動させるバッテリーレスモデル。電池を実装して測温し続ける従来の中・大型の温度ロガーに対して、ICラベル1枚でより簡便に温度情報を取得できる。水産物や青果などの食品、電子部品、高機能材料など温度管理が求められる場面に有効な同ラベルを、12月から提供していく。
長距離通信・一括読み取りで個品管理が行えるUHF帯ICラベルは現在、製造や物流分野の工程管理や在庫管理、入出庫管理などで利用事例が拡大。国内アパレルでの採用事例では、センターからの出荷から店舗での納品と棚卸、店頭の在庫管理に加えて購入者自身によるセルフレジ化まで、省人化のトータルソリューションを構築するなどして利活用されている。
ICラベルを運用する一部の製造現場や食品物流では、冷蔵・冷凍下の温度管理も実施。電池を実装した温度ロガーは高価かつサイズも大きく、1点ごとに貼付する運用が困難だった。このため、保管庫内や作業場といった室内空間の温度で代用し、測定値をICラベルの運用とは別工程で管理してきた。
トッパンフォームズが開発した「温度測定機能付きICラベル」は、温度センサーを内蔵したICチップを搭載したもの。リーダー・ライターからの電波で作動するバッテリーレス型で、起電と同時に被着体の温度を測定。これにより、固有のIDと温度情報をひも付けた個品管理を実現した。
従来別工程で計測・管理してきた測温値を一括管理できることで、同社は「記録の書き間違えといった人為的なミスの削減や作業工数の削減に貢献し、業務効率化にも貢献する」と説明している。
同ラベルは市販のRFID対応プリンタで印字発行が可能。「大きさ・形状など用途や使用環境に応じた提供が可能」(同社)という。問い合わせはITイノベーション本部(☎03−6253−5734)。
電波で起電し被着体の温度を計測後リーダーに送信
厚みや基礎構成、外観は一般的なICラベルと同じ
(2020年10月1日号掲載)