帝国インキ製造(株)(東京都荒川区西尾久、澤登信成社長、TEL03-3800-9911)はこのほど、ベタとグラデーションなどの印刷を両立する高品位・高精細スクリーンインキを開発。ステッカーや銘板用の「XER」を上市した。線幅100マイクロメートルでの印刷が可能で、高速印刷適性と優れた密着性が特徴。このほかに、自動車や家電のパネル、モバイル通信機器向けガラス印刷用などの製品がラインアップされている。同社では7月1日から、新型インキの国内販売を開始。また近日中に、中国や韓国、台湾および東南アジア諸国、欧米への展開も予定している。
スクリーン印刷方式は、紙のほかにプラスチック成形品やガラス、金属への印刷が可能。インキを厚く盛ることができるため、隠ぺい性と耐候・耐久性に優れる。一方で、微細文字や細かいドットへの対応力、または高速印刷への追従性などに課題があり、安定した印刷品質を実現するためには、オペレーターのスキルに依存する場合が少なくなかった。
同社では、長年にわたって培ったインキの技術開発力により、高品位・高精細印刷の実現に最適な粘弾性を持つ溶剤型の新型スクリーンインキを開発。メッシュや製版・乳剤、印刷機などの資機材の技術開発力、ならびに印刷技術を融合することで、100〜116マイクロメートルの細線を再現する。担当者は「テスト段階では、30マイクロメートルの極細線を再現した実績もある」と話す。
また、これまで困難とされていたベタとグラデーションが混在する印刷デザインに対し、安定した高品位印刷を実現。直線性に関しても、基材表面の影響を極限まで抑制し、10マイクロメートル以下というエッジの凹凸がない細線を可能にした。
インキの乾燥性が高く、1500枚の連続印刷でも、細線や細かいドットの乱れが発生しない。ロータリースクリーン印刷機で、毎時800〜1500枚の高速印刷にも対応するなどの特徴を有する。
スクリーンや銘板用のXERにおける設定色は現段階で、12色をラインアップ。担当者は「ステッカーなどの特色対応にも相談に応じる方針。また、UV硬化タイプの展開も視野に入れており、検討中の段階」とコメントする。対応基材は、易接着処理を施したPET、ポリカーボネートフィルムで、PVCや合成紙はテスト段階。
〈写真〉30μmの空隙印刷テストの写真。従来インキ(左)と比較して新型スクリーンインキ(右)は微細印刷を実現
(2016年7月15日号掲載)