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ハイ・アングル 2015年11月1日号

かつて同言語を使用していた人間は、協力して天に届く塔を建造した。しかし、神の怒りにより塔は破壊され、人間は異なる言語を与えられた。以降、地上にいが絶えることはない——。近年の東アジア周辺海域に関する報道を目にするたびに、旧約聖書「創世記」にある「バベルの塔」の一節を思い出す。国際情勢の不穏な空気は、将来的なビジネスの見通しを不明瞭にするケースが少なくない。ネガティブな要素が収まることを願うばかり▼政治関係は冷え込む東アジアだが、訪日観光客は昨今の円安を背景に増加傾向。特に訪日中国人の〝爆買い〟は、国内サービス産業を十分に潤わせている。2月の春節休暇では、都市部の大型店舗などに中国人観光客が殺到。ブランド品や電化製品などを大量に買い込む姿がニュースで報じられた。さらに10月の「国慶節」連休で〝爆買い第二波〟が到来。東京・銀座は再び多くの中国人で賑わった。冬到来を控えてか、前述の商品に加え市販薬やトイレタリーなども目立ったという▼しかし、帰国した中国人の中に困った事態が生じているとの声も。どうやら片っ端から購入した結果、薬の効能を忘れてしまったとのこと。日本語表記のラベルを見ても、漢字はともかくひらがな・カタカナは理解できない。さて、ここでラベル印刷会社の企画提案力が問われる▼薬事法によりラベルへの記載情報量は多いが、そのスペースには限度がある。日中双方の言語を記載するなど無理。ではどうするか。ブックレットラベル、ラベルに印字された二次元コードを介しての翻訳、簡単な中国語が印刷されたPOPラベル…アイデアはいろいろ。新ラベル採用の暁には、その先の東京五輪にも直結する。ビジネスチャンス到来だ。バベルの塔で受けた痛手を治すのは、案外ラベルによるちょっとしたアイデアかもしれない。

 
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